たぬきには、ため糞といって毎回決まった場所で糞をする習性がある。
先日山を歩いていて、このため糞場を初めて発見した。
いろいろな色や形の糞がこんもりと盛られていて、中には木の実の種や皮が消化しきれずにそのまま輩出されたものもある。その種類は多様だ。たぬき氏、なかなかバリエーションに富んだ食生活を送っておられるようだが、中には輪ゴムが混じっているものもあり、あまりがっついちゃいけないよと心配にもなった。
たぬきには、ため糞といって毎回決まった場所で糞をする習性がある。
先日山を歩いていて、このため糞場を初めて発見した。
いろいろな色や形の糞がこんもりと盛られていて、中には木の実の種や皮が消化しきれずにそのまま輩出されたものもある。その種類は多様だ。たぬき氏、なかなかバリエーションに富んだ食生活を送っておられるようだが、中には輪ゴムが混じっているものもあり、あまりがっついちゃいけないよと心配にもなった。
あけましておめでとうございます。
正月は元旦こそ家でダラダラと過ごしていたけれど、やはりしばらくすると山のことが気になってそわそわし始めるもの。そこで、新年から場所を変えてくくり罠を再設置するために山に入っていた。山の様子は去年の暮れと何も変わっていないはずなのに、木々も鳥の声もなんとなく装いを新たにしたように感じられるのだった。山道に設置されたお地蔵様も、いつもより綺麗に掃除されているようだ。
さて、鹿が通ったと思しき獣道に、罠を設置するための穴を掘っていると、土の中から緑色の塊がポロリンと出てきた。
ソラマメだろうか?
いいや、冬眠中のモリアオガエルだ!
緑色の肌に金色の目が光っていて綺麗だ。冬眠中なので、手の上に載せてもまったく逃げようとしない。
思わぬ出会いについはしゃいでしまったけれど、こんな寒い中をたたき起こされてカエルにしたらいい迷惑だろう。体をギュッと縮めて寒さに耐えているようにも見えるし。寒い外気にさらしすぎると死んでしまうかもしれないので、急いで穴を掘って埋め戻した。
カエルには申し訳ないことをしたが、幸先よく正月から面白いものに出会って大満足だ。
今年もよい一年でありますように。
銃を使った猟はまとまった時間のとれる土日しかできないので、同時並行で獣道に罠を使った狩猟もやっている。獲物が罠にかかっているかどうかの見回りは早起きすれば平日でも可能だし、なにより銃猟以上に獣道の探索や獲物の行動を読むことが必要になってくるので、自然を相手に駆け引きをしているようで非常に面白いのだ。
くくり罠
くくり罠というのは、ワイヤーで作った輪を地面に埋め、上を通った獲物の足首を縛り上げるタイプのわなの総称だ。獲物が罠を踏むことで作動するものが多いが、その方式にはいくつかのタイプがある。
私が使っているのは跳ね上げ式というタイプのくくり罠だ。獲物が罠を踏む力がワイヤーを保持したアームを持ち上げる動作に変換され、足首をくくり上げるためのワイヤーが跳ね上げられることからこの名前がついている。設置のために深く大きい穴を掘る必要がないので土を掘り返した匂いで獲物にわなの存在を気づかれにくいのが利点だ。
今のところ市販のものを購入して使っているけれど、一つ5000円と高価なので、自作を試みているところだ。
真ん中の板を踏むと左右に開いたアームがもち上がる。
ワイヤーをセットした状態。
獲物が板を踏むとアームが上がってきてワイヤーが外れ、ばねの力が解放されて獲物の足首をくくり上げる仕組みだ。
罠を設置してから2週間ほどたったが、残念ながらまだ捕獲にはいたっていない。罠のそばを獲物が通っていることは足跡などを見るに間違いないから、獣道を読むところまではうまくできているはずなのだけれど、すんでのところでうまく逃げられてしまうのだ。最近あった悔恨の2例を紹介しておく。
空振り
獲物が罠を踏んで、罠が作動したにも関わらず、逃げられてしまった。
ワイヤーが足首を縛り上げるよりも一瞬早く、獲物が足を引いたのだろう。反射神経の敏感な優秀な獲物だったのかもしれないが、罠の露見を恐れるあまり上にかぶせる土の量を増やしすぎたことで、ワイヤーの動きが鈍っってしまった可能性もある。
ニアミス
罠を生めた場所のすぐ真横に獲物の足跡が残っていた。運が悪かったといえばそれまでだけれど、罠の名人になると木の枝や石などの障害物をたくみに設置して、鹿が足を下ろす場所を輪なの上に誘導したりできるそうである。
とまあ、今のところ獣の方が私より上手であることは間違いない。
設置の方法を試行錯誤しつつ、自作して罠の数を増やそうと思う。
猟場を歩いていて見つけるのは、動物だけではない。
獲物が残したわずかな痕跡も見逃さないぞ!という気概で回りを見ながら歩いているから、思わぬ掘り出し物を見つけることもあるのだ。
そういうわけで、去年は見つけたときにはかぴかぴに乾燥していて食べられなかったナメコだけれど
今年はばっちりの状態のものを見つけて、採集することができた!
最初は一本の木にほんの数本が生えているだけだったので素通りしていたのだけれど、山道を進むにつれて木の表面を覆うようにびっしりとナメコが生えているのが散見されるようになった。知らないうちにナメコの群生地に迷い込んでいたのだ。
ナイフを使って、夢中になってほじくり出す。
持ち帰って水洗いしたところ。
さっと湯通しして大根おろしと醤油で和えたり
鶏肉、小松菜と一緒に炒めてそばにのせたりして食べた。
肝心のお味は...歯ごたえがよく、香りも強くて最高に美味しかった!
小ぶりのものよりも、大きく成長して傘が開いたものの方が味も香りも強かった。サイズがばらばらな天然物ならではの発見である。
このナメコをとったときは、肝心の獲物は何一つとれなかったんだけど、こんなに美味しいものが手に入るならそれだけで山に入った甲斐があるというものだ。
なお冒頭の記事の中でナメコは梅雨時と秋のキノコであるなどという大嘘を書いているけれど、雪が降ったあとも普通に見られるキノコです。ごめんなさい、無知だったんです...。
前に紹介した、山の中で見つけた野性の梨(ヤマナシ)だけれど
小ぶりのものは皮を剥くのも大変なので、まとめて果実酒にすることにした。
表面をよく洗って
水気をよく拭ってから真っ二つに切る。このとき、変色していたり種の周りにカビが生えているものは捨ててしまう。たくさんあるから、大盤振る舞いができるのだ。
氷砂糖と一緒に瓶に入れ
ホワイトリカーを流し込む。いたって簡単である。
材料の組成は
・梨 800g
・氷砂糖 100g
・ホワイトリカー 1.8L
栽培種の梨を使った果実酒のレシピをそのまま使わせてもらった。2週間くらいで飲めるようにはなるそうだが、時間をかけて熟成させた方が味がよくなるらしい。せっかくなので気長に待とうと思う。生で食べてみた感じだと栽培種に比べて酸味や渋味が際立つが、酒につけたときにこれが吉と出るか凶と出るかが気にかかるところだ。
ところで、ヤマナシと聞いて宮沢賢治の童話『やまなし』を思い浮かべる人も多いのではないだろうか?この童話は小学校の教科書にも採用されているので、作中で蟹の親子の会話に登場する「クラムボン」という謎の言葉の解釈に苦しめられた人も多いはずだ。
山中で夢中になって梨をもいでいるとき、「『やまなし』ってひょっとしてこのヤマナシ?」という思いつきが頭に舞い降りた。この着想は、希少な植物の実を見つけたという喜びに輪をかけて彩りを添えてくれたのだけれど、帰宅して調べてみると、作中の「やまなし」が植物学的に何を指しているのかは今をもってはっきりしないようである。
今、青空文庫で『やまなし』を読み返してみると、最後の方のお父さん蟹の台詞に次のようなものがある。
「待て待て、もう二日ばかり待つとね、こいつは下へ
沈 んで来る、それからひとりでにおいしいお酒ができるから、さあ、もう帰って寝 よう、おいで」
やまなしは時間がたつと発酵(「ひとりでに」とあるので)して美味しい酒になるらしい。私のヤマナシと賢治のやまなしが同じものかはわからない。発酵酒と果物を酒に漬け込んで作る果実主もまったく別のものだ。わかってはいても、あの童話のような、ふわふわした甘美な現実感のなさをもった酒ができはしないと期待してしまうのである。