先日軽く紹介しましたが、新年1発目の出猟でホシハジロというカモ科の鳥の雌を獲りました。
狩猟の制限あれこれ
狩猟解禁日前のお話。どうしても鴨が獲りたかった私は
「琵琶湖で猟をすれば湖面に群れて浮かぶ鴨がとり放題でウハウハなのでは?」
くらいの軽い気持ちで、滋賀県で狩猟者登録をすることに決めました。
狩猟者登録とは、都道府県に狩猟税を納めて「狩猟をしてもいいですよ」というお許しをもらう事務手続きのことです。この手続きをすませると、狩猟者登録を受けていることを証明するバッジ(狩猟をしている間はこのバッジをよく見えるところに着ける義務があります)、もろもろの書類、そして猟をしてよい場所が記された地図が送られてきます。
私のところにも、手続きをしてから1週間ほどで送られてきました。気になる地図がこちら
琵琶湖、みごとに真赤。
赤く塗られているところは保護区です。鴨のボーナスステージとなるはずの琵琶湖は、ことごとく狩猟ができないのでした。
なお、緑色に塗られているところは「狩猟はしてもいいけど銃は使っちゃいけないところ」です。銃は猟具としては便利だけれど、何かと制限の多い道具でもあります。私が虫採り用の網を担いで電車に乗っても、「いい年して変わったやつだな」と思われるだけで済みますが、むき出しの銃をもって電車に乗れば、即刻所持許可を取り消されることになるでしょう。そんなものですから、狩猟が許可された地域の中でも、銃を使ってもよいエリアはさらに限られます。
その他にも細々とした規制があるのですが、ややこしいのでここでは割愛します。
ともかく、琵琶湖の水面にのんきに浮かんでいる鴨の大群を恨みがましく流し見しつつ、禁猟区の狭間にある池や川をめぐることになったのでした。
池の中のホシハジロを回収する
いくつかの水場を回った末にホシハジロを仕留めることができました。しかしながら、池の真ん中を泳いでいるところを撃ったため、ちょっと簡単には回収できない状況になってしまいました。どうしよう?
取りに行くしかない!
寒い!
冷たい!
いや、冷たいというよりも痛い!
カモ類初ゲットに浮かれた頭を急冷却してくれるような水の冷たさ。
岸からホシハジロまでがもっと離れていたら、新年早々、鳥の死体と一緒に池の底に沈んでいたかもしれません。
ともかくも、
ホシハジロ(♀)ゲット!
震える体で服を着て、間髪入れずに消化器系の内臓を取り除きます。大型の鳥は、できるだけ早くこの腸抜きと呼ばれる作業をしてしまわないと、味が落ちてしまうのです。肛門を探し当て、ナイフで少し切れ目を入れて、腸をズルズルと引っ張り出します。臭いです。臭くて不快ですが、取り出しているものが臭いということは、それだけ後で食べる肉の味を向上させていることです。臭ければ臭いほど期待値が上がるという、屈折した喜びを味わうことができます。
ズルズル
ズルズル
?
ぎゃー
公衆衛生の行き届いた現代の日本で、生きているサナダムシを見る機会なんてまずないだろうから、これはこれで貴重な体験だろう。そう思うことにしよう。
目黒の寄生虫博物館で見たような標本にしてやろうかという思いが脳裏をかすめましたが、こいつを自宅に持ち帰るのはあまりに不衛生に思えたので、捨てて帰ることに。
寒中水泳する羽目になったり、鳥の腹から極太サニーが出てきたり、アブノーマルな滑り出しとなりました。
観察する
頭部
口内
脚
羽
なんとも、美しいですね。ほれぼれしてしまいます。
美しい鳥の脇の下にはハジラミがいました。不潔だなあ。でも、動物的にはこれが普通なのです。野生動物の体には、ダニやシラミが必ずと言っていいほど寄生しています。ハジラミは鳥専門の寄生者なので大丈夫なのですが、中には人間に乗り移ってくる節操のない寄生者もいるので、迂闊に動物と触れ合わない方が良いでしょう。
宿主のホシハジロが死んでしまった今、このハジラミも余命幾ばくもない運命です。
そして食材へ
観察が終わったので、食材になっていただきました。ヒヨドリの時と同じで、羽毛をむしってから残った産毛をバーナーで焼いてしまうのですが、サイズが大きいので2時間くらいかかってしまいました。1羽処理するだけでもこれだけの労力が必要なものを、食肉工場ではあれだけ大量の鶏をどうやって捌いているのでしょう?羽むしりロボットでもいるのでしょうか。
内臓を取り出しました。鴨の砂肝(右上)は大きく、スモモくらいあります。
味