梅雨に入るとにわかに地面から顔を出し始めるやつらがいる。そう、今年もキノコの季節が始まったのだ。こう書くと、1年中何かしらのキノコは生えてるじゃないかという人がいるかもしれない。もちろんそれはそうなんだけど、なんというか、梅雨のキノコは「生えてやるぜ!」という意気込みが、他の季節のやつらとは違うのだ。
春や秋や冬のキノコは、寒さや乾燥に怯えつつ、なんとか開拓した小さな生存圏でひっそりと
生きているような感じなのだけれど、梅雨のきのこを見ていると、これこそ俺たちの世界!お前の肌も苗床にしてやろうか!という恐ろしいほどの勢いを感じるのだ。
生きているような感じなのだけれど、梅雨のきのこを見ていると、これこそ俺たちの世界!お前の肌も苗床にしてやろうか!という恐ろしいほどの勢いを感じるのだ。
人間にとっては不快極まりない季節だけれど、彼らにとっては冬が終わって春の日が差し始めたくらいの、希望に満ち満ちた季節の到来なのだろう。言われてみれば、なんだか肌がジトジトムズムズするし、キノコが生えてきてもおかしくはないかなという気がするじゃないか。
肌はべたつくし、食べ物はすぐに傷むし、洗濯物は乾かないけれど、熱気と湿り気の中からキノコに限らず生き物たちが萌え出てくるこの感覚は、この時期に独特のものだ。梅雨も案外捨てたものではないかもしれない。
こんなことを唐突に言い始めたのは、職場の近くでフェアリーリング(キノコが環状に群生した状態のこと。今回のは正確には輪ではなく弧だったけれど)に遭遇したためである。
高確率でキタマゴタケ(可食)だと思うんだけど、その割には黄色が薄くて確信がもてない。キタマゴタケには外見がそっくりなタマゴタケモドキという猛毒キノコがあるのだ。
図鑑にも安易に食べるなと書いてあるし。確信が持てるまで止めといたほうがいいだろう。
今週末は久々に山にキノコ探しに行こうと思う。
※ 台湾旅行記もまだまだ続きます。旅行記っぽさを出したくて全編「ですます調」で書いてみたけれど、しっくりこないのでやめにしようと思う。
※2 帰宅したらカレーが腐っていた。やはり梅雨は早く明けてほしい。