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やっぱり獣肉の生食はやめといたほうがいい

※不快感を催す寄生虫の写真あり

 

先日、猟友会の先輩にもらった鹿のレバーを自宅に持ち帰り、調理しようとしたときのこと。

ビニール袋からレバーを取り出す右手が違和感を覚えた。まな板の上に置いて、しばし検分してみたけれど、見た目はなんともない。だが触ってみた感触がどうもおかしい。レバーのぷにぷにした感触の後ろに、なにか硬くてごろごろしたものが隠れているのだ。意を決して、包丁を入れてみる。

 

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ん...?

 

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「ひ、ひいい!」

思わずレバーを投げ出してしまった。

レバーの中に、白くて軟骨のような感触の穴ぼこがたくさんできていた。硬くてごろごろした感触の正体はこいつだったのだ。そして穴の断面からは、黒くてどろどろした液体に混じって、平たくて細長いものがふよふよと漂い出てきた。

 

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種類は不明だが、このレバーがなにかの寄生虫に感染していることは明白だ。

レバーをビニール袋に戻し、口を固く縛る。さらにその上からもう1枚ビニール袋をかぶせ、こちらも中身が漏れてこないように厳重に封をして、燃えるゴミの袋に突っ込んだ。包丁とまな板、そして自分の手を洗剤で念入りに洗い、手以外にはさらに熱湯をかけて消毒した。これで、とりあえずは大丈夫だろう。

 

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処理を済ませてすこし落ち着いてくると、こいつはいったいぜんたい何者なんだろうという疑問が湧いてきた。「鹿 肝臓 寄生虫」で画像検索をかけて、似たような見た目のものがないか探してみる。

そうして、こいつはどうやら肝蛭(かんてつ)という寄生虫で間違いなさそうだという結論に達した。読んで字の如し、肝臓に寄生する蛭のような生き物だ。

肝蛭は、ヒメモノアラガイという淡水性の巻貝を中間宿主とする吸虫だ。哺乳類の体内へ侵入経路は、主として卵のついた水辺の草と一緒に食べられることであるとされている。人間への感染例も報告されていて、クレソンやミョウガのような水辺に生える野菜をよく洗わずに生食したり、感染した動物のレバーを十分に加熱しないで食べることで感染するそうだ。

肝臓への侵入に成功した虫は、その内部を食い荒らしながら産卵可能な大きさまで成長する。上の写真の個体は、大きさからいって十分に成長しきったものだろう。それ故に異変に気づけたわけだが、これが仮に感染直後の肝臓で、卵から孵化したばかりの非常に小さい個体しかいなかった場合、目で見たり手で触ったりしただけでは異常に気づかなかったに違いない。

とても気持ち悪い体験だったけれど、狩猟を始めてまだ日が浅いうちに、こういうガツンと殴られるような衝撃的な体験をしたことは、ある意味で幸運だったかもしれない。猟師の中には、「最近は保健所がうるさいけれど、昔はみんなレバーを刺身で食べてたよ」みたいなことを冗談半分で言う人もいる。そういう話を聞くと、生で食べるとそんなに美味しいのかなという好奇心が沸いてくることは抑えがたいのだ。しかし、目の前にある穴だらけになった肝臓は、今後たとえどんなに勧められたとしても、絶対に生食を試すことはないと確信させるだけのインパクトを持っていた。

 

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肝蛭の顔(?)のアップ