北海道に行ったといいつつ、沖縄の話で恐縮である。
川でサメを釣る
プレコを捕りに沖縄まで行って、見事その目的を達成した。
やるべきことはやったわけだから、もう帰ってしまってもよかったのだが、せっかくここまできてわずか3日で帰るのはもったいない。なにか他に面白いことはないかなあと、那覇市内を流れる安里川の脇を散歩していたところ、信じられない光景を目にした。
1mくらいある大きな白いサメが泳いでいるのだ、川の中を。
調べてみると、安里川にはオオメジロザメというサメが、満潮の時刻になると海から遡上してくるというのだ。確かに、満潮の安里川はまったくと言っていいほど流れがなく、ビニールゴミが上流に向かって流れて行くのを見たことがあるほどだ。目と鼻の先にある海から、海水とともにサメが上がってきても不思議ではないのかもしれない。それにしても、1m以上あるものサメが川を泳いでいるとは驚いたものである。
まさに「犬も歩けば棒にあたる」。次にやることが決まった。そのサメを釣り上げてやるのだ。
「あ!サメだ!」と思ってカメラを向けたのだが、あとで見たら何も写っていなかった。悲しい。
がっちりと歯型がついた魚が流れてきた。
まずは大型魚用の針や糸を買うために釣具屋に行った。
店主に欲しいものを伝えると、
「サメを釣るの?物好きだねえ」
といって、特大の針と太い釣り糸を用意してくれた。サメは大きい上に歯がとても鋭いので、生半可な糸だとあっさり噛み切られてしまうそうだ。餌は付近スーパーで買ったサンマ。深夜の川に糸を下ろし、珍しそうに話しかけてくる人たちと歓談しつつ、サメが食いつくのを待った。
釣れなかった
結果として、サメは釣れなかった。
現地で話を聞いた釣り人曰く、サメは真夏の方が連れやすいとのことだったので、時季をあわせてリベンジすることにした。
さて、ここからが本番である。せっかくの遠征を「サメが釣れなかった」という残念エピソードで締めくくるのは嫌だったので、磯で簡単に捕獲できるナマコを拾って食べることにした。
ナマコを拾う
こんな感じの磯を
干潮の時間帯に訪れれば、あっさり見つけることができる。
今回はクロナマコという種類のナマコを持って帰ることにした。
さて、実はこのクロナマコ、その名の通り真っ黒なボディをもつナマコなのだが、同じように黒いニセクロナマコなるナマコが存在する。そして、クロナマコは食べられるのだが、ニセクロナマコは毒があって食べられないらしいのである。
見分け方はこうである。
まず手ごろな棒切れを見つけて、ナマコをつつく。
すると、驚いたニセクロナマコは素麺のような白い糸の束を吐き出す。これはキュビエ器官と呼ばれるもので、外敵をびっくりさせたり、絡まって動けなくすることで、捕食を断念させるための防衛器官である。このキュビエ器官は、クロナマコにはない。だから、黒いナマコを見つけたら、いじめてキュビエ器官を出すかどうか観察すれば、毒の有無がわかる。
おもしろいのは、個体によってはよほどしつこく攻撃されないとキュビエ器官を出さない怠け者もいるということだ。怠惰なニセクロナマコのせいで疑心暗鬼にかられた我々は、
「瀕死になるまでつついてみて、それでもキュビエ器官を出さなければ、無害なクロナマコ」
という、まるで魔女裁判のようなナマコ判別に励んだ。
そうして捕獲したクロナマコ。つつきすぎて背面が白っぽくなっている。
調理する
表面のぬめりを落としたあと、両端を切断し、切り開いて内臓などを除去する。そこからは適当な大きさに切り分けて、生食するなり焼いて食べるなりすればよいだけである。
ポン酢で和えた酢ナマコ
オクラや唐辛子と一緒に炒め物に
調理中はナマコから立ち上がる磯の香りが思いのほか強く、おいおいこれ大丈夫かよという感じだったのだが、料理になるにつれて気にならない程度に収まっていった。どちらの料理も美味しいのだが、炒めたナマコは水分がとんで貝のようなこりこりとした食感になってしまったので、ナマコ特有の感触を味わいたいならやはり生食がいいのかなと思った。