日記(2024年8月16日~2024年8月20日)

2024年8月16日 金曜日

夕方のこと。

「今日、送り火の日やん!」

と気づいて、点火時刻の18時を待ってアパートを飛び出す。飛び交うヘリコプターの群れで空が騒がしい。報道機関だろうか?「落ちろ~!」と念を込めるも、効果なし。

高層建造物に立ち入る権利のない人間にとって、送り火をきちんと視界に収めるのは至難の業だ。路上から鑑賞するには、街中に点在する送り火と自分の間に遮るものがないスポットを勝ち取らねばならない。私は例年定番ポジションにしている駐車場へ向かった。

幸い、思ったより人出は少なかった。ポジションに納まると、送り火はすでに安定した炎を上げていて、文字通り大きな「大」の字が煌々と町を見下ろすようにに浮かび上がっていた。私は電線の影で黒い線の入った大の字を見て「ほお」と声を上げる。去年の今も、同じ場所で、同じものを見ながら、「ほお」と声を上げていた。時計の針がチチチッと足早に進んで、体内時計が校正された気がする。今年もまた夏が暮れていく。

そろそろ帰ろうかなと思い始めた頃、近くの横断歩道で自転車が点灯するのを目撃した。行き交う車もいつもより景気よくクラクションを鳴らしている気がする。町全体が落ち着きをなくしていて、つられて自分も意味もなく興奮してくる。とはいえ路上で踊り出したりはせず、やることといえばせいぜい普段通らない道を通って帰るくらいのことである。

帰宅途中、住宅地の一角の、民家の前の電柱の周りに4,5人の人が集まっているのに出くわす。そばに寄って振り返ってみると、そろそろ消灯しようかな、という感じで弱まった送り火が屋根と屋根の間に見通せた。路上の、送り火の見えるスポットを目ざとく見つけて、人が吹き溜まっている。

夕食後にXを見ていて、うるさかったヘリコプターが報道機関のものではなくて、観光用の遊覧飛行であったことを知る。もっと真剣に念を送るべきだった!

 

2024年8月17日 土曜日

デイリーポータルZで「ハンザキ祭り」の記事が公開される。反応少なし。でも、やりがいは反応の数だけじゃないからな。自分に言い聞かせる。明日には増えるかもしれないし。さらに言い聞かせる。

 

2024年8月18日 日曜日

いまだ反応少なし。どうなっている。リアル知人にはあんなにオオサンショウウオ愛好家がいるのに。彼らは結局のところ類友にすぎなかったのだろうか?

7月に書いた「かどや」で豚汁と白ご飯を食べる記事の十分の一も反応がないのはどういうことだろう。

金日成のかかげた目標に「すべての人民に白米と肉のスープを」というのがあったのを思い出す。白米と肉のスープの求心力、強し。

ただ、少数だがネット上(おもにX)のオオサンショウウオ愛好家から熱烈な反応をもらえたのはうれしかった。

 

2024年8月19日 月曜日

北野武の「アキレスと亀」を観る。感動。

 

2024年8月20日 火曜日

やむにやまれぬ事情があって、コロナに感染して絶賛発熱中の人物から荷物を受け取る。その様子はまるで身代金の受け渡しのよう。

(5mくらい離れたところにやってきた相手に向かって)

「よーし、そこで止まれ。足元にブツを置くんだ。手は消毒してきたな?よし。じゃあ、そのまま5m後ろに下がれ。余計なことを喋るんじゃないぞ。」

(相手が十分下がったところで、前に出てブツを確認する)

「中身はたしかだな。よし、もうあんたは用済みだ。大人しく帰って寝ちまいな」