伊丹市昆虫館できらめく昆虫たちの美しさに悶絶する

伊丹市昆虫館できらめく昆虫展を見学し、丸山宗利先生の講演を聴講してきた。
 

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丸山宗利先生は現在は九州大学総合研究博物館に所属しておられる昆虫学者だ。最近は「昆虫はすごい」や「きらめく昆虫図鑑」などの著書を活発に出しておられるので、名前を聞いたことのある人も多いのではなかろうか。
講演の内容は、先生の専門である好蟻性昆虫の話と外国での採集旅行の話がメインだった。好蟻性昆虫とは、蟻の巣に住み着いて食べ物や安全を提供してもらっている昆虫のことである。蟻の好物である蜜を出すなどしてきちんとギブアンドテイクの関係を守る律儀なものもいるにはいるそうだが、多くは一方的に蟻の巣に寄生するだけ。中には大切な蟻の卵や蛹を食べてしまう不届き者までいるそうだ。人間の世界と同じで自然界にもひどいのがいるなと思ったが、好蟻性昆虫は蟻に「ん、こいつ本当は仲間とちゃうのでは?」と感づかれたが最後、たいていは八つ裂きにされて殺されてしまうらしいので、寄生する側も命がけである。世知辛くなったとはいえ、人の世は虫の世に比べればまだまだずっと優しさに溢れているようだ。
論文未発表の研究成果や海外採集の話も含め、講演は非常に面白かった。もっとも印象に残っているのは、先生が北海道の草原に寝っ転がっていたときに、そばを通っている蟻の行列に見慣れない虫が紛れ込んでいるので、採集して調べてみたら新種の好蟻性昆虫だったという話だ。動植物と人間の間でも、運命的な出会いというものがあるのだろう。
 
 
 講演後はきらめく昆虫展で、キラキラした虫たちを存分に見学した

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▲大量に並べられるホウセキゾウムシの仲間たち 
 

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▲ニジダイコク

 

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▲生体展示されていたアイヌキンオサムシ
 
展示されている虫たちは、息を飲むほどに綺麗だった。すばらしい色彩美と造形美をあわせもった虫たちを収集して、部屋に並べて飾ることができたらどんなに素敵だろう。森を歩いていて、輝く虫を見つけ、捕まえることができたら、どんなに感動するだろう。自分もきらめく昆虫の標本を集めたい、できれば自分でも採集したいと強く思った。
 
 
時間があったので常設展示も見学した。こちらもなかなかクレイジーなものがあったので、いくつか紹介する。
 

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まずエントランスホールに入るとすぐに、巨大なミツバチが出迎えてくれる。
通称ビッグ・ビーと呼ばれる、ミツバチの巨大模型で、当然のように細かいところまで作りこまれている。
余談だが、蟻の巣に好蟻性昆虫がいるなら、同じ社会性昆虫である蜂の巣には好蜂性昆虫がいるのではないかと丸山先生に質問したが、今の所そういった昆虫は見つかっていないとのことだった。好蟻性昆虫は、異物と認識されて蟻に攻撃されることがないよう姿や行動を蟻に真似ていることが多い。蜂の場合は三次元的で蟻よりもはるかに複雑な動きをするため、真似をしようとしてもすぐに見破られてしまうのが、好蜂性昆虫がいない理由ではないかと言っておられた。
 

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シロモンオオサシガメの生体展示。「ここでえものの肉ジュースをすうよ」とわざわざサインペンで書き足されている。

以前、恐竜を紹介する番組の中で、外国の古生物学者が化石の歯が生えているあたりを指しながら「すごい歯でしょう。夜道でこいつに出会ったりしたら、一瞬でミンチにされてしまいますよ」と言っているのを見たことがある。サシガメのPR文もこれと同じ発想から生まれたもので、肉食動物への愛着が暴走して、グロテスクな表現がはみ出てしまうことがあるのだろう。

 

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観光地によく見られる、顔を出して記念撮影するための看板もある。あえてこの虫をチョイスする姿勢がすばらしい。私も思わず顔を入れてしまった。
 
きらめく昆虫展の方はとっくに会期が終了してしまっているが、昆虫に興味がある人は常設展だけでも十分に楽しめると思われるので、訪問を検討してみるといいだろう。
 
 
 

台湾旅行⑤〜台北町歩き〜

台湾旅行もあっという間に3日目の最終日。

この日は遠出をせず、台北市内の、それも台北駅近くの狭いエリア内でをぶらぶら見て回ることにした。2日間、朝から晩まで歩き回って疲れていたのもあるけれど、最大の理由は飛行機の時間に余裕をもって間に合うようにしたかったからだ。
せっかくの海外なのだからぎりぎりまで遊びたいのだが、以前そのような考え方でバンコクからの帰りの飛行機に乗り遅れるという大失敗を犯したことがあるため、旅行の最終日には迂闊にタイトなスケジュールを組むことはできない。そのときは帰国便を乗り逃し、他の便も満席なので、仕方なくいったんマレーシアまで飛行機で移動し、そこで別の飛行機に乗り換えて日本に帰ることになった。大冒険である。
 
飛行機は駆け込み乗車(乗機?)できない。
 
4万円近い追加出費や丸1日の時間と引き換えに得た教訓だから、大切に生かさなければならない。
 
 
 まずは燻製の煮込みが食べられる店へ。

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燻製を、煮るんですってよ。
聞いたときは、なんて手間のかかることをするんだろうと驚いた。これを考えた人は、カツ丼を考案した人と同じくらい、調理を愛していたにちがいない。
燻製の煙が立ち込めるところで大鍋で何かをグツグツ煮ているような怪しい屋台を想像したが、来てみるとずっと広くて、さっぱりした店であった。店の名を、信遠齋という。
 

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無造作に並べられる鳥の丸煮たち

 

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朝食を食べるつもりで朝一番に来店すると、店の中がまだ準備モードだったので一瞬不安を覚えたが、問題なく売ってもらうことができた。ただ、豚肉や内臓系の煮込みはまだ転倒にでていなかったので、次回行くことがあればもう少し遅めに来店しようと思った。
 

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燻製にした肉をさらにスープで煮込むことで、トロリと柔らかく、とても複雑な味がするようになるのだ。加工肉の新境地といっていい美味しさだった。
 
 
次に総統府の建物を見に行った。

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新総統の就任式を控えて、巨大な演壇と客席が設置されていた。

 

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事前に予約すれば中も見学できるそうである。古い建築好きとして、いつか絶対中を見てやるぞと思った。

 

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こちらも近くにあった政府系の建築物。台湾も地震が多い国なのに、古い建物を概観そのままできっちり保存しているのには頭が下がる思いだ。

 

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上の建物の真向かいに建っていたビル。均整のとれた洋風建築もいいけれど、こういう各人が思い思いに使い込んだ結果、雑然とした外観が形成された建物も大好き。

 

この後は、これでもかと試飲をさせてくれるお茶屋でお土産用のお茶を買ったり、日本語ペラペラのおばあさんがやっている高級茶器店をのぞいたりした。
茶器屋に寄ったのは、猫空で飲んだ中国茶に感動して、自分用に茶器を一揃い買って帰りたいと思ったからだ。それで、茶器を売っている店を何件か見て回ったのだけれど、「これこれ、こういうのが欲しかったの!」と思って飛びついたものは高価(急須一つで7万円とか)で買えない。かといって、一度高級品を見てしまった目で安価な茶器を見ると、なんとも物足りない気分にさせられてしまい、これらもあえて購入する気が起こらないのであった。次に来るときは、茶器を探して骨董屋巡りなどをしてみても楽しいかもしれない。
 
 
昼過ぎに迪化街という地区に来た。食べ物屋や雑貨屋が立ち並んでいる。おみやげ物などを物色するのにちょうどよい。

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饅頭を売るお店。本当にいろいろな種類があって迷ったが、オーソドックスな肉まんを購入。八角の味が利いていて美味しかった。 
 

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杏仁露という甘味を売るお店。長い列ができているが、注文を聞いて5秒ほどで用意されるらしく、どんどん列が消化されていく。

 

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出てきたのがこれ。
 

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杏仁の層にあんこがかけられ、一番上にかき氷が載っている。赤を頼むと小豆餡、緑を頼むとうぐいす豆餡が載ってくるようだった。杏仁そのものには甘みがついておらず、非常にすっきりとした味。
 
よい時間になったので、タクシーで空港行きのリムジンバス乗り場へ移動した。
何事もなく、大満足で帰国するかに思われたが、お土産用に買ったライチの蜂蜜が手荷物検査で止められてしまった。言われるまでまったく考えが及ばなかったのだが、蜂蜜は液体とみなされるので、飛行機内には持ち込めないのだ。落胆したが、仕方がない。
そのとき、あることに気がついた。蜂蜜は何種類か合ったのだけれど、そのうち一つは固化していたのだ。機内に持ち込めないのは”液体”なので、うまくすればそれだけでも持って帰れるかもしれない。瓶を逆さにして、中身が固まっていることをアピールしながら説得を試みた。
 
  海底クラブ 「This is solid!」
 
  空港職員 (一瞬、考えるような顔をしてから)「No, sorry...」 
 
かくして、蜂蜜たちは行ってしまった。
 
蜂蜜は持って帰れなかったが、台湾旅行は本当に楽しかった。年に何度も旅行するほどはまってしまう人がいるのもむべなるかな。日本と似た部分と、異国情緒のある部分がうまく混ざっているので、日常の延長感覚で海外旅行に出られるのが人気の理由ではないかと思う。帰国してから、ネット上の台湾旅行記などを見て、「あ、ここも見たかった」「これ食べてない」と悔しい思いをすることが多くなった。次ぎは絶対にここに行こう、そう考えるたびに、再訪の思いを新たにするのであった。 
 
 
 

台湾旅行④~ランタンを打ち上げる町、十分~

台湾旅行2日目、猴硐(ホウトン)を一通り見物した後は、程近いところにある十分(シーフェン)に移動した。線路沿いにびっしりと並んだ商店街や、願掛けしたランタンを飛ばせることで有名な観光地だ。人手がたいしたことなかった猴硐とちがい、こちらは大にぎわいである。

 

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休憩もかねて沿道の食堂で遅めの昼食をとることにした。牛肉麺と春巻きを注文。牛肉麺は香辛料の辛味が強く、食欲をかきたててくれて美味しい。汗が止まらなくなるとわかっていてもスープまで飲み干してしまった。春巻きにはパクチーがもりもりと巻き込まれていて、辛味で疲れた舌に優しかった。

 

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電車が通るとき以外は線路上は開放されていて、こんな風に記念撮影をすることもできる。

カンカンカンと鐘の音が響き、周りがざわつき始める。列車がやってくるという合図だ。それまで好き勝手に記念撮影したり遊んでいた人たちが、鐘が鳴ると一斉に退避行動をとり始めるのがおもしろかった。

 

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驚きの近さ。駅の手前なのでたいしたスピードではないとはいえ、本当にスレスレのところを走り抜けていく。

 

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電車が行ってしまうと、みんなワイワイ言いながら、もとのところに戻ってやっていたことを再開する。これがここの日常である。

 

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名物のランタン飛ばしも、電車が来ないすきに線路上で行われる。このランタンがなかなか大きくて、あっちこっちからふわりふわりと飛び去っていく光景は、なんだか不思議である。詳細は忘れてしまったが、ランタンの色にはちゃんと意味があって、自分がお願いしたいことに対応した色の面に筆で願いを書き込むシステムになっていた。

 

それにしてもこのランタン、結構派手に燃えてるけど、山に囲まれたとこでそんなもん飛ばして大丈夫なん?という心配が湧いてこないでもない。実際、上昇中に火が気球部分に燃え移って、炎上しながら落ちてくるランタンも見かけた。現役の線路上から飛ばしていることといい、いろいろとカオスである。

 

 

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GPA(大学の成績)が爆上げしますように!みないな願い事が書かれたランタン。無事に上昇してみなさん大喜び。

 

線路沿いの光景だけを見ていると、観光客のためだけにあるような町という印象を受ける。それはそれでなんだか寂しいと思ったけれど、路地を一本入ってみると、住宅やこじんまりした寺院があって安心した。

 

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どういうシチュエーションを表しているのか、謎の壁画もあった。

 

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白菜を象った植木鉢。植物の上に植物を植えるという発想が素敵だ。

 

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 怪しいおっさんがやってた駄菓子屋。クレしんドラえもんの人形に混じって毛沢東の像が置かれている。

 

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谷を挟んで、線路の通っているエリアとは別の方に渡ることのできる吊り橋。

 

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橋の反対側は普通の住宅地。橋を渡った観光客たちがちょっとそこらをぶらついてから、なにもねーなという顔をして引き返してきていた。

 

魅力的な場所には人が大勢訪れる。それだけならいいのだけれど、人が増えると「綺麗で安全な観光地に再整備しよう!」という目標のもと、例えばガラス張りの駅舎を新築するなどしてもともとあった魅力を削いでしまうことが少なくない。

十分はとても面白い場所だけあって人がじゃんじゃん訪れているのだけれど、ここにはそういう姿勢が微塵も感じられないあたりが本当に素晴らしいと思った。これからも乗客の数に対して慎ましすぎる規模の駅舎を使い続け、人がいる線路だろうが構わず電車を走らせ、火がメラメラと燃えている気球をじゃんじゃん飛ばしまくって欲しい。

 

 

台湾旅行③~猴硐(ホウトン)~

台湾旅行2日目は猴硐(ホウトン)という町に遠出をした。

猫好きのみなさま、かわいい猫の写真がこれでもか!というくらい登場しますよ!

 
台北中心部から東へ、電車に揺られることおよそ1時間の所にある。
台北駅から電車に乗ったのだが、事前に座席の予約をしていなかったため、客車の端にあるでっぱりに腰かけて過ごすことになった。
 

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猴硐駅の駅名看板

 
猴硐はかつて炭鉱および選鉱場で働く労働者で栄えた街である。鉱山は閉山して以降、町は衰退の一途を辿っているが、炭鉱でねずみ駆除のために飼われていた猫が繁殖して新たな観光名物となっているようだ。
かくいう私も、猫村というキーワードに惹かれてこの田舎町までやってきたのだった。

 

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看板には、ツルハシを持った労働者、巨大猫、そしてなぜか猿が描かれている

 

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駅には貨物列車が停まっていた。炭鉱時代の名残だろうか。

 

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駅舎のバルコニーから駅前の広場を撮影
 
奥に見えるのは観光案内所と歴史資料館である。手前は食堂や売店。最近観光客が増えてきたそうだが、まだまだ施設はこじんまりとしている。

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奥に見えるのは炭鉱施設の廃墟である。

 

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バルコニーにはさっそく猫が。粗末な箱の中で寝ていた。

 

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 わざわざ作ったのだろうか?芸が細かい。

 

 

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駅を出て、町外れまで歩いてみた。
元炭鉱の町ということもあり、山間を流れる川の周りの狭い土地に駅や建物がひしめき合っている。町の端から端まで、10分足らずで歩けてしまうようなコンパクトさである。
 

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山の斜面をくりぬいて祠とも寺院ともつかない施設が作られていた。

 

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川岸には本場の太公望の姿も。

 

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炭鉱の施設はおおむね保存されており、今でも見学することができる。
まずは炭鉱へと通じるトンネル。トロッコに乗って中を見学することもできる。ここからトロッコで運び出された石炭は、橋を渡って川の反対側にある選鉱場に運び込まれていたそうだ。

 

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 橋の上を渡って選鉱場の廃墟へ。転落防止用のアクリルパネルが設置され、完全に観光地化されている。

 

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中華圏っぽさ全開のスローガン。かっこいい。私は、こういう労働意欲高揚系のスローガンや歌や看板やらが大好きである。ただし実際に労働現場に放り込まれたら5分で根をあげてしまうだろう。

 

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橋が対岸に着くところでは、かつて選鉱場だった廃墟を眺めることができる。こちらはトロッコや橋とは違い、雨ざらしでまったく手入れもされておらず、崩れるに任されている。目に見える衰退の証を突きつけられて、昔からここに住んでいる人たちはどう思っているだろうか。

 

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猫たちはいたるところで寝ている。 

 

駅をまたぐ高架橋を通って反対側のエリアへ。高架橋内には、版権的に怪しいものも含めて、猫をかたどった休憩のオブジェが多数飾られている。

 

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高架を抜けると、廃墟のある側とは打って変わって、おしゃれな猫グッズを扱う雑貨屋などが現れた。あざとい看板までたてられている。飲食店も今風で非常におしゃれ。猫に群がる観光客を仕留めようと、いろいろなおしゃれショップが網を張っている。
これらの店は山の斜面を蛇行しながら登っていく道沿いにあるのだが、この道はおそらくもともと生活道路だったもので、そう広くないエリアに店と民家がモザイクのように混在している。家の軒先を観光客がひっきりなしに往来し、猫の写真を撮っていく状況は、地域住民にとっては愉快なものではないかもしれない。

 

と言っても、絵になる猫がいるとついついカメラを向けてしまうのだが。とにかく、いたるところに猫がいる。

 

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君、写真を撮らせるためにずっとそこに座ってるの?と聞きたくなるくらい、絵になるところでじっとしている。他の猫はたいていだらけて寝ているのに、この子だけは背筋を伸ばして座っていた。モデルとしてのプロ意識の差だろうか。

 

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中には商品の上で寝る厚かましいものも。しかし猫に儲けさせてもらっている自覚があるからか、店の人も寛容である。

 

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一瞬猫に見えたけど、石だった

 

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足跡まであった。なんだかわざとらしい気がしないでもない。

 

前述したように、猴硐は狭い町なので、2時間もあれば一通り見て回ることができる。台北から時間をかけて電車で来るわけだから、猴硐行きを考える人は近場でもう一箇所くらい訪問したい場所を調べておくとよいだろう。

 

おまけ

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 犬もいた。

 

 

 

今年も生えてきました

梅雨に入るとにわかに地面から顔を出し始めるやつらがいる。そう、今年もキノコの季節が始まったのだ。こう書くと、1年中何かしらのキノコは生えてるじゃないかという人がいるかもしれない。もちろんそれはそうなんだけど、なんというか、梅雨のキノコは「生えてやるぜ!」という意気込みが、他の季節のやつらとは違うのだ。
春や秋や冬のキノコは、寒さや乾燥に怯えつつ、なんとか開拓した小さな生存圏でひっそりと
生きているような感じなのだけれど、梅雨のきのこを見ていると、これこそ俺たちの世界!お前の肌も苗床にしてやろうか!という恐ろしいほどの勢いを感じるのだ。
人間にとっては不快極まりない季節だけれど、彼らにとっては冬が終わって春の日が差し始めたくらいの、希望に満ち満ちた季節の到来なのだろう。言われてみれば、なんだか肌がジトジトムズムズするし、キノコが生えてきてもおかしくはないかなという気がするじゃないか。
肌はべたつくし、食べ物はすぐに傷むし、洗濯物は乾かないけれど、熱気と湿り気の中からキノコに限らず生き物たちが萌え出てくるこの感覚は、この時期に独特のものだ。梅雨も案外捨てたものではないかもしれない。
 

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こんなことを唐突に言い始めたのは、職場の近くでフェアリーリング(キノコが環状に群生した状態のこと。今回のは正確には輪ではなく弧だったけれど)に遭遇したためである。

 

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高確率でキタマゴタケ(可食)だと思うんだけど、その割には黄色が薄くて確信がもてない。キタマゴタケには外見がそっくりなタマゴタケモドキという猛毒キノコがあるのだ。

 

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図鑑にも安易に食べるなと書いてあるし。確信が持てるまで止めといたほうがいいだろう。
今週末は久々に山にキノコ探しに行こうと思う。
 
 
 
※ 台湾旅行記もまだまだ続きます。旅行記っぽさを出したくて全編「ですます調」で書いてみたけれど、しっくりこないのでやめにしようと思う。
 
※2 帰宅したらカレーが腐っていた。やはり梅雨は早く明けてほしい。
 
 

 

台湾旅行②~士林夜市~

猫空から台北市街に戻り、宿に荷物を置いて一息ついてから、夕食を求めて台北最大の夜市である士林夜市に繰り出しました。

 

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メインの通りはものすごい人、人、人。食べ物の屋台もちらほらと出ていますが、雑貨や服を売る店が主なようです。

 

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りんご飴やトマト飴を売る屋台

 

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フランクフルトのようなものを売っていました。「熱狗」でホットドッグ?

 

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カエルをあしらったかっこいい看板もあった。

 

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「お、金魚すくいみたいなことやってる」と近寄ってみると

 

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海老でした。おそらく食用。

 

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屋台を一通り冷やかしたので、次は地下の食堂街に行ってみることに。

 

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 アグレッシブな客引きがこれでもかと攻勢をかけてくる上に、どの店もメニューが豊富で目移りします。お昼に食べた茶料理がまだお腹に残っていたので、軽く麺類が食べられる店に入ることにしました。

 

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牛肉麺

非常に濃い色のスープなのでぎょっとしてしまいましたが、食べてみると意外に優しい味でした。

 

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▲ワンタンスープ

こちらも優しい味付け。 

 

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色とりどりの果物を扱うお店。各種ジュースも売っています。

 

ジュースを片手に地下街を脱出しようとすると、10才くらいの男の子が

「アンニョンハセヨ!」

と言いながら牛肉麺の写真が載ったメニューを見せてきました。おいおい君、僕たちは日本語で会話してるだろう。しかも片方の手で腹をさすり、もう片方の手にはデザートのジュースまで持ってるし、どう見ても牛肉麺を買ってくれる相手ではないでしょうに。

グローバル化の進んだ世界では、客引きにも高度な職業能力が要求されるようです。ちなみに、ジュースを買った瞬間から、大人の客引きは一切話しかけてこなくなりました。この子もそう遠くないうちに、日本人と韓国人、食事を済ませた人とそうでない人を一瞬で区別できるようになるでしょう。

 

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地下街の出入り口のすぐ横にあった、胡椒餅のようなものをクレープ生地で包んだものを売る店。 買って帰って夜食にしました。

 

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地下街を抜け、雑踏の中を進むとお寺がありました。周囲は人でごった返しているのに、お寺の建物の中はお札をありがたそうに運んでいる人が数人いるだけで、落ち着いた雰囲気でした。

 

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提灯がきれい。日本の寺院とは違って色彩と装飾の洪水です。

 

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寺を出て、さらに市の奥へ。

 

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ガラクタ市のようなところに出ました。

 

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犬がこっちを見ている!

 

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なんとか入り口に戻ってこられました。11時近くまでいましたが、まだまだ人が減る気配もありません。いったい何時まで営業しているのか気になります。

 

 

おまけ

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市場で買った見事な釈迦頭。洋梨とライチを合わせたような味の果物です。切り分けられていたものを試食すると、とろけるようにやわらかくて美味しかったのですが...

 

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買ったものを持ち帰って割ってみるとあら不思議、まったく熟してないやん!そんなこんなで台湾1日目の夜が更けていきました。

 

 

 

続きます。

台湾旅行① ~猫空ですばらしい一杯に出会う~

ちょっと前ですが、ゴールデンウィークの翌週末に台湾へ行ってきました。

台湾にハマって年に何度も渡台する人が後を絶たない昨今、そんなに楽しいなら1回くらい行ってみようかなと軽い気持ちで決めた旅先でしたが、これが予想外に面白く、かつ気楽で、帰国するなり次はいつ行こうかななどと考えてしまうほどでした。

3日間の旅程をつらつらとまとめましたので、見てやってもいいぜという方はお付き合いください。

 

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台北郊外にある桃園空港からは、市街地へ向かうバスが頻繁に運行されています。わかりやすい看板が設置されていて、まず迷わないので便利です。

 

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海賊版DVDなどを捨てるための箱なんだろうけれど、なぜか中には少なからぬお金が...。泉や鳥居があると反射的にコインを投げたくなってしまうアレと似たようなものだろうか。

 

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農園や山間部を縫うように走る高速道路を進むと、次第に土地が開けビル郡が現れるようになります。

 

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台湾の建物は出窓や鉄格子で作ったベランダのようなスペースを標準装備していることが多いようです。そこに植木やガラクタを置いているので、町に独特な雰囲気が添えられています。

 

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奥に見える特大のお坊様の垂れ幕と、手前の気の抜けたような手書きも字の看板の対比に注目してほしい。看板の字体が家の近くにある鉄工所のそれとそっくりで、どこの国にもこういうのを作る人がいるのだなあと関心。

 

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異国情緒ある町並みや、そうかと思うと吉野家が現れたりするのを車窓から眺めて楽しんでいるうちに、台北駅の前に到着。特になにもない道端でバスを降ろされました。何もないと言いましたが、実際にはガラクタを寄せ集めて作った珍妙な人形たちが出迎えてくれました。

 

台北市内は非常によく交通網が整備されており、MRTと呼ばれる地下鉄を使えば市街地であればたいていのところへ行くことができます。初日は郊外にある猫空(マオコン)というお茶の名産地に行ってみることに。

 

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猫空へ向かには、地下鉄の終着駅でロープウエイに乗り換えるですが、今は整備中で使えないという張り紙が。そして付近では、ロープウエイが止まったことを聞きつけたのか、乗りそびれた観光客を狙ってたくさんのタクシーが客引きをしています。聞けば山上の終着駅まで300元だとのこと。高いのか安いのかわからないし、そもそも普通にメーターを使えばいいじゃないかとも思いましたが、時間ももったいないので乗ることにしました。

 

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到着。
とてものどかで良いところです。しかし、のどかさの半分くらいはロープウエイが動いていないせいで人がほとんどいないことに起因しているような気もします。人がいないのは大変結構なのですが、自分が店員なら間違いなく「客が来ないから今日は休みにしよう」と言って店を閉めてしまいそうな閑散っぷりなので心配です。
 

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目星をつけていた四哥の店という茶芸館が営業していた!台湾の人が真面目で良かった。

茶芸館というのは、ご当地物の茶葉を売りつつ、それらを使った料理や喫茶も提供してくれるお店のことです。

 

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とても見晴らしの良い席を確保できました。手前には猫空の茶畑が、その向こうには台北市街地が一望できます。今回の旅行ではスルーする予定だった台北101ですが、図らずも遠くから眺めることができました(写真左寄りの、頭一つ抜けて高い建物)。

メニューは、当然ですが、茶にちなんだものが多いです。珍しいのでいろいろ注文してみました。

 

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▲鶏肉の茶燻製

ほんのりと茶の香りがします。肉についた茶の渋味が、柑橘ベースのソースによく合っていました。

 

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▲茶のチャーハン
刻んだ茶葉が入っている。上にのっているモケモケは豚肉を煮込んで繊維をほぐしたもののようです。
 

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▲茶の葉の天ぷら

こんなに存在感のある茶葉は初めてだよ...と思わずつぶやきたくなる一品。

 

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▲こちらは特に茶は使われていない炒め物
メニューに「猪」という字が書かれていたので注文したけれど、普通の豚肉のようでした。中国語では区別しないのでしょうか。
 
他にも色とりどりの饅頭など頼んでみようかとも思ったのですが、店員のおじさんが「とても大きくて食べきれないからやめたほうがいいよ」というようなことをジェスチャーで伝えてくれたのでやめておきました。中華文化圏では食べ残すのが当たり前だと思っていたので意外でしたが、後でとなりのテーブルで食事していた現地人家族の立ち去った跡を見ると、なんと山ほど食べ残してる!
どうやら
 
①我々が日本人であると言うことを瞬時に見抜き
②日本人が料理を食べ残すのを嫌がることを考慮した上で
③店の儲けを減るけど、注文を思いとどまらせた方がこの人たちは喜ぶから止めるように言う
 
という判断を一瞬でやってしまう、プロ店員の技だったようです。
ともかく、最初に注文した料理を食べるだけでお腹はかなりパンパンに膨らみました。
 
店を出て、中国茶を飲ませてくれる店まで移動する途中、せっかくなのでなにか変わった生き物がいないか探してみることにしました。 

 

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▲アフリカマイマイ

 

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▲サシガメの幼虫

 

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▲クモ(詳細不明)

 

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▲何かのさなぎでしょうか?

 

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▲ジンガサハムシ

 

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キノボリトカゲ

 

山の中なので、車道のそばの茂みを除いただけでいろいろな生き物が観察できるのがうれしい。いつも思うのですが、生き物が好きだとどこの土地に行ってもそこでしかない出会いに恵まれるので、それだけで旅行の楽しみが数倍に膨れ上がります。

 

そんなこんなでお目当ての茶芸館に到着。こちらは六季香茶坊というお店です。

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とても素朴なお店です。例によって人が少ないこともあり、雰囲気は最高。店内には見たところ照明がほとんどなく、軒から入る自然光がきれいな陰影を作っています。こういうところで飲むお茶は最高に美味しいに違いないと、期待が膨らみます。

 

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凍結烏龍茶というお茶をいただきました。

”凍頂”烏龍茶の間違いでしょと思った人、”凍結”であってるんですよ!

この地域にはお茶を凍らせて保存する習慣があるんだそうです。冷凍庫から取り出したばかりのお茶の袋が汗をかいています。

店員さんは中国語オンリーなので茶葉の種類についての細かい説明なんかは聞けませんでしたが、筆談で丁寧に煎出回数や、煎出時間について説明してくれました。なんと7煎目くらいまではきちんと味が出るそうです。スプーン1杯の茶葉で2時間くらいお茶ができてしまいそうです。

 

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茶葉を買うと、茶器一式と湯沸かし器を貸し出してくれます。思う存分、お茶をしながらダラダラしましょう。

 

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各々の茶器の名称はこの通り。

せっかくなので教えてもらった茶を入れる手順を紹介します。

 

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1. 茶海にお湯を注ぎます。

 

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2. 茶海が温まったら、お湯を茶杯に移します。

 

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3. 茶壷に茶葉を入れ、たっぷりのお湯を注ぎます。

 

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4. 蓋をして待ちます。

 

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5. 茶漉を通して全てのお茶を茶海に注ぎます。茶壷の中のお茶をいったん全て茶海に移すことで、茶壷の中でお茶の抽出が進みすぎたり、濃さが不均一になることを防ぐことができます。

 

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6. 茶杯のお湯を茶盤に捨て、お茶を注ぎます。

 

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完成!

 

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茶杯を口元に近づけただけで、その香気の強さに圧倒されます。乾燥させた茶葉に比べて、すがすがしい香りが強いように感じました。口の中で花が開いたような感じです。今まで飲んだ中国茶の中で、一番美味しいかもしれません。

 

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お茶請けには自家製の茶梅をいただきました。すっきりとした甘さで中国茶によく合います。

 

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あまりお客がいなかったからでしょうが、横のテーブルで店の人たちが茶葉の選別だか加工だかをしていました。店に入ったというより、茶農家の軒先を借りている気分です。茶を入れては飲み、入れては飲みしているうちに、本当に2時間近く居座ってしまいました。

 

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店の前に広がる茶畑を散策しながら駅まで戻ることに。観光客向けの遊歩道が整備されているので、作業をする人たちの邪魔をせずに畑の中を歩くことができます。

 

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茶を蒸す釜でしょうか?

 

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茶畑の中にお墓がありました。

 

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装飾がカラフルでとてもかわいらしいです。 

 

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石でできた牛。

 

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日本ではなかなか見かけない、日干し煉瓦でできた物置もありました。地蜂の巣穴がたくさん開いていました。

 

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石でできた豚達。

 

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何かと思ったら豚舎の展示でした。今は使われておらず、外に置いてあるのより少しだけリアル寄りの石豚が中に配置されています。牛も豚も、本物はもう飼っていないのでしょうか。

 

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本物の猫。そこそここぎれいなので、誰かに世話してもらってるのでしょう。観光客には関心がない様子でした。猫空という地名にも関わらず、猫は2匹しか見ませんでした。

 

駅に戻る頃には日が傾き始めていました。暗くなってきたので行けませんでしたが、猫空には茶の博物館や、少し離れたところには山寺もあるそうです。個性的な茶芸館もまだまだ何軒もあり、一軒に居座ってゆっくりするもよし、何軒もはしごするもよしでいろいろな楽しみ方ができそうです。そしてなにより、お茶が美味しい!お茶を飲むためだけに台湾まで来る価値もあるかも、と感じさせてくれる場所でした。

 

 

続きます