山の中で梨を見つける

猟場の下見をするために山の中を歩いていて、大量の実をつけた気を見つけた。近づいてよく見てみると、なんと梨にそっくりな姿をしているではないか。

 

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野生の梨の木を見るのは初めてなんだけど、こんなにたくさん実がなるなんて知らなかった。一つ一つの実は栽培種に比べてずっと小さいのに、あまりにたわわに実っているものだから重さで枝がしなっていた。

 

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かじってみた。多少酸味が強かったけれど、市販の梨と同じ香りと、シャリシャリした食感だ。この時点まで、実は梨にそっくりな別の植物なのでは、という疑念もあったのだが、かじってみて確信した。こいつは梨の原種に間違いない。

 

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手の届く範囲になっているものをもらってきた。これを使って菓子作りなどしてみようと思う。

 

 

 

うみねこ博物堂で昆虫標本を買いました

仕事で東京に行った帰りに、少し足を伸ばして以前から気になっていたウミネコ博物堂に行ってみた。

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店内に入ると、狼の被り物を身につけ、尻に尻尾を生やした人物が店内を物色していた。なんだなんだ、ここは客までおかしな生き物なのかしらと思ったが、話を聞くと近くの雑貨店で開かれている狼フェアの宣伝でその格好をしているとのこと。しょっぱなから強烈な一撃をかましてくれるものだ。

店内には昆虫、骨、種子の標本に加え、雑貨や書籍も陳列されている。わかっていたことだが、店内に入るとあれも欲しいこれも欲しいと目移りしてしまうので難儀した。陳列用の標本箱とにらめっこして、なんとか選び出した2匹の昆虫標本を紹介したい。

 

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1匹目はインドネシア産のホウセキゾウムシだ。

夏に見に行った伊丹市昆虫館の「きらめく昆虫展」でも展示されていた昆虫だ。展示を見たときは、いつか自分の部屋にこんな綺麗な昆虫を飾りたいなと思ったが、意外と早くに叶ってしまった。

 

kaiteiclub.hatenablog.com

 

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▲青緑色に光っている部分は、鱗毛と呼ばれる小さなうろこ状の毛が集まってできている。

 

 

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2匹目は中国湖北省産のカブリモドキだ。最初はオサムシかと思ったのだけれど、よくみると上翅の後端が二股に分かれているので、同じオサムシ科のカブリモドキの仲間だと思われる。

オサムシ科の昆虫には、キラキラと輝く色彩豊かな種が多く、歩く宝石との呼び声も高い。さらに、注目したいのはその形だ。頭から突き出た大顎、紡錘形の腹部に掘り込まれた個性的な凹凸、長い手足、地上を走り回りながら餌になる昆虫を追いかけることに特化しつつ、最大限におしゃれをしている。まさに美しさとかっこよさを兼ね備えたミラクル素敵な昆虫なのだ。中でも、中国奥地に生息するカブリモドキはトップクラスの美しさを持つ種である。

 

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▲肉食昆虫であることを誇示するような、獰猛そうな大顎。クワガタムシの大顎が主として身内同士の喧嘩に使われるのとは違い、オサムシの仲間の牙は獲物を捕食するためにある。

 

あまりに素敵な虫たちがたくさん売られていたので、とっておきの2匹を選ぶのには苦労した。こんな店が自宅近くにあったら、間違いなく収入が入るたびに散財してしまうだろう。虫を買い足すのは関東に遠出したときの楽しみにするとして、仮置き用のタッパーに入れられたカブリモドキのために箱を作ってやることにしようと思う。

 

 

 

アケビ

山の中でアケビを見つけて

 

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手が届かないものだから、10分近く蔓を引っ張ったりゆすったりしてなんとか1個落下させたのを拾ってみたら

 

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中身はすでに鳥に食べられていたのだった。

 

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ほんの少しだけ残された部分を口に入れてみると、ほんのりとした優しい甘さのある味がした。

 

 

 

白川郷で茅葺屋根を浴びるほど堪能する

二日目は郡上八幡からさらに山奥に進んで、白川郷にやってきた。

白川郷といえば茅葺屋根、茅葺屋根といえば白川郷。つまり白川郷については茅葺屋根の住宅がたくさん集まった山間の集落であるという以上のイメージは持っていなかったのだが、実際に訪問すると予想以上に茅葺屋根の住宅以外のものがなく、これだけメジャーな観光地になったにも関わらず質実な景観を維持していることに拍手を送りたい気分になったのだった。

 

 

 

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防火用の放水銃も、このように景観に合わせて偽装されている。

 

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 お昼は飛騨牛や川魚の甘露煮をいただいた。

 

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食事処の縁側からは、すばらしい夏の庭と山の風景が一望できた。緑が濃く、紫陽花も綺麗に咲いていてる。良い季節に来られてよかったと思った

 

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水路には巨大な鯉やニジマスが悠々と泳いでいる。餌をちらつかせると、口をパクパクさせながら先を争って寄ってきた。鯉はともかく、ニジマスにはもう少し孤高の存在でいて欲しかった。

 

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物置小屋(?)にもしっかりと茅葺屋根が載っている。白川郷は豪雪地帯なので、物置小屋なんか適当に作っておけばよかろうなどと思ってしまう私のような人間は、住み始めて最初の冬でいろいろなものを失ってしまったことだろう。

 

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集落のそばを流れる川に架かる吊り橋

 

集落を回った後は、旧遠山民俗館を見学した。茅葺屋根の家の暮らしを知ることができる資料館のような施設だ。

 

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▲囲炉裏周り。板敷きなので冬は寒そうである。

 

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▲風呂場。とても綺麗にタイルが敷かれているし、窓の模様ガラスや真鍮製の蛇口も凝ったものが使われている。もはや住む人がいないのでこれらも使われることはまずないのが惜しい。 

 

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蚕!生きた蚕がわさわさと動いていたので興奮してしまった。茅葺屋根の家では、屋根裏で蚕を育て、繭をとって売っていたそうだ。 

 

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屋根裏のスペースは、今は当時使われていた道具を展示するスペースになっている。 

 

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▲蚕の卵をつけて売る種紙。

 

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▲蚕にとってはなんとも恐ろしい、さなぎころしかご。とれた繭をほっておくと、中から羽化した蚕の成虫が出てきて繭をダメにしてしまう。 そうなる前に、このかごに繭を入れ、下から火で炙り、中の蛹を殺してしまうのだ。無情である。

 

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▲結納に使ったという、藁で出来た鯛の飾り。内陸部で本物の鯛が手に入りにくかったための苦肉の策なのかもだけれど、現代の価値観では普通の鯛の塩焼きを出されるよりもおしゃれに見えるかもしれない。

 

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▲昔話に出てきそうなお膳。茶碗にご飯をこれでもかと盛り付けたくなる。

 

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▲乳児を入れておく桶。

 

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 ▲立って歩き始める頃の乳児を入れる桶。血を吐いてるのかと思ったら募金とかでもらえる赤い羽根でした。人形の表情に少し笑う。

 

旅行で方々を訪れるたびに、こんなところに住んでみたいなあと将来の移住候補地が増えて困ってしまう。今回まわった岐阜の山奥も自分としてはかなりポイントの高い地域だった。雪かきすらしたことのない者の戯言である。

 

 

 

雨が降れどもひたすら踊り狂う!郡上踊りの魅力

リス村の続き。

リスと一通り戯れてから、移動を開始した。山間部を縫うように走る道を抜けると、場違いな感じがしないこともない垢抜けた町に出た。郡上八幡である。

郡上八幡には、郡上踊りという伝統が伝わっている。何をするかというと、日が落ちてから何時間も踊り続ける。それだけならどこにでもありそうだ。すごいのはここからだ。なんとこれを33晩に渡って続けるというのである。

 

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目抜き通りはとても綺麗に整備されている。

 

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側溝には綺麗な水が流れていて、鯉や川魚がゆらりゆらりと泳いでいるのが見える。台所から出た汚水に混じる残飯を食べて水の浄化を手伝ってくれる上に、ハレの日にはご馳走として食卓に上るという。

 

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こんなところに猫発見。そんなところで寝ていると危ないよと注意しようとしたが、威嚇されてしまった。

 

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おお、レトロで綺麗な建物がある!

もともと郡上町役場だった建物を観光拠点として再利用した施設とのこと。失礼ながら、こんな僻地の町役場ですらそこそこ凝った建物を建ててしまう、戦前日本の建築デザインに対するこだわりはすばらしいと思う。

 

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元町役場の前の橋では川に飛び込んで遊んでいる人たちがいた。

 

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日が傾いてきた。心なしか、そろそろ踊りが始まるのではないかと、周囲がそわそわしてきたようだ。見上げると、商店街のアーケードにも踊る人々の姿が。

 

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踊りが始まった!山車が車道のど真ん中に引きずり出され、その上では三味線、太鼓、笛を使った囃子の演奏が始まる。

 

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囃子を中心にして踊る人々。見よう見まねで参加する我々。

群集は、踊りながら山車の周囲を少しずつ回っていく。最初は周囲を見ながらぎこちない動きを繰り返すばかりだった我々も、一回りし終える頃にはそこそこ様になるようになってきた(ような気がした)

1時間ほど踊っただろうか、住民はまだまだ踊り続けていたが、我々は離脱して宿に向かうことにした。なんか小雨がぱらついてきたし、でも本当に雨が降っても踊り続けるんだね、などといいながら車を駐めた駐車場に向かい始めてから、すごいことに気がついた。

 

  彼らが踊っている場所は駐車場の出入り口の真ん前だ

 

困ったことになった。そう、踊りが終わるまで車は出られないのである。暇で仕方がないので、団子屋でみたらし団子を買い、店主に「雨が降ってるけど踊り続けてますねえ」と水を向けてみたところ、「特別な祭りだからね!災害警報でも出ない限りやめないよ!」というような答えが返ってきた。すごいと思うやら、もどかしいやら。結局、10時頃になって踊りが解散する段になって、ようやく脱出することができた。

 

最後は散々な目にあったが、大勢の人々が山車を中心にして踊るさまは壮観だった。踊りの型にはいくつかあるのだけれど、どの型にも下駄をカランッと鳴らすステップがあって、大勢の人間が足踏みを合わせてこのカランッを鳴らす、その一糸乱れないさまが気持ちよかった。次は下駄を履いて来たいと思った。

 

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町家の中に郡上踊りの歴代ポスターがずらりと展示されていた。一番のお気に入りはこれ。虫たちもついはっぴを羽織って踊りに来てしまうようなお祭りなのだ。

 

 

 

すっぽんの骨格標本、完成!

以前に捕まえて食べたすっぽんの、骨格標本が完成した。

骨を組み立ててることなんて読者はほとんど忘れていただろうけれど、この1年近く、作っては放置し資料を漁っては放置しを繰り返しつつも、着実に生前の姿に近づけてきたんである。ポージングは、水中で泳いでいる姿を意識した。かっこよく仕上がったので満足だ。

 

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生前の姿を見たい人はこちらの記事をどうぞ。

kaiteiclub.hatenablog.com