2023年6月6日

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映画を見に行くために自転車をこいでいると、唐突にすごく懐かしい匂いがしたのでほとんど反射的にブレーキを握った。

それはなにが発するものなのかもわからない捉えどころのない匂いで、その匂いが漂ってきたときにまず湧いてきた感想は「90年代の匂いがする」だった。小学校の教室かどこかで嗅いだことがあるのかもしれない、決して慣れ親しんだというほどではないけれど、どこかで一度は必ず嗅いだことのあるような匂いだった。

気になったからわざわざ引き返して発生源を調べてみることにした。

自転車を押して来た道を少し戻る。そこを通り過ぎたのはほんの一瞬前のことなのに、匂いはすでに風にのって消えてしまっていた。そのあたりにある店や植物の匂いではないようである。大通り沿いの歩道だからそれなりの数の通行人がいた。その人たちの中の誰かがその匂いを出していたのだろうか?

 

文化博物館で上映された映画は面白かった。

笠智衆主演の「みかへりの塔」という映画で、素行の悪い少年少女を収容して教育する寄宿制の学校が舞台の半ドキュメンタリーだ。映画が作られたのは太平洋戦争中の1942年のことだが、帰ってから調べてみたらその学校がまだあることがわかったので驚いた。