11月6日のキノコの記録

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クリタケ

栗にそっくりな見た目でかわいい。

 

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シロヒメホウキタケ

前に大阪で同種を見たときは、もっと透き通るような白色をしていた。これは少し古くなったやつのようだ。

 

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シイタケ

だと思うのだけれど...。もう少し大きくなったら、はっきりわかると思う。

 

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ナメコ

大きく成長していて、ちょうど食べ頃のナメコを見つけた。

この日はトリュフの近縁種であるイボセイヨウショウロを探しに来て、空振りを食らったのだけれど、ナメコに出くわしたことで無駄足にならなかったので見つけたときは非常に喜んだ。

 

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ナメコは鹿肉と一緒にすき焼き風の煮物にして食べた。ヌメヌメとした粘液にゴミが絡まって洗うのが大変だったが、味も食感も素晴らしかった。 

 

 

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鹿料理4種

猟期開始前なのに鹿肉(しかもエゾシカ!)をたくさんもらってしまったので、最近は鹿料理ばかり食べていた。

ジビエって言うとなんだかキワモノめいた響きだけれど、使ってみるとたいていどうやって調理しても美味しくて、そこらで売ってる普通の肉と比べて特別なものでないことがわかる。

 

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鹿ステーキ

塩コショウ、にんにく、ローズマリーで味付け。赤身がジューシーで脂が甘い!文句なしの美味しさ。

 

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鹿肉トマト煮込み

一品で野菜もたくさん摂れる上、とてもあったまる。調理も簡単だから野外で作るのにもいいかも。

 

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鹿肉とレンコンの甘辛煮。

和風の味付けだと、にんにくやハーブを使わない分、鹿肉の野性味のある味をダイレクトに楽しめる。今回使った肉はきちんと処理されていたので美味しいけれど、血抜きが不十分だったりすると臭みが残ってしまうかもしれない。

 

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鹿肉とレンコンのインドカレー

カレーなんだから、美味しくないはずがない。タンドリーにして焼いて食べてもよさそう。

 

とりあえず4つ紹介したけれど、他に作ったものや、これから試してみようとしているものもある。製麺機が使えるようになったから、鹿肉を使った坦々麺やソーキソバなんてどうだろう。夢は膨らむばかりだ。

それにしても、肉がたくさんあるって幸せだなあ。

 

 

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我が家に製麺機がやってきた

家庭用の製麺機を買った。

買ったのは小野式製麺機といって、私が生まれるずっと前に作られたものだ。古いものだから、電動モーターなどついているわけもなく、手動のハンドルを回して生地を伸ばしたり裁断したりするためのローラーを回転させる。

わざわざこんなに古いものを買ったのには理由がある。

まずは見た目が良い。

ゴツゴツとした鋳物のフレームに、真鍮でできたメタリックなローラーが剥き出しにすえつけられている。一応簡単なカバーは着いているけれど、ハンドルを回せば大きな歯車がガチャガチャと回転する様をカバーの隙間から観察することもできる。

ヌメッとした流線型のフォルムにダイオードの光がピコピコしている最近のやつより、断然こっちの方がかっこいいと思う。

そして、ローテク故にある程度なら自力で修理できることも魅力だ。

私が買ったやつは部品の欠品こそないものの、ところどころ錆びて動きも悪くなっているため、5000円強という相場からするとかなり安価な値段で買い受けることができた。

実際に届いてみると、たしかにところどころ錆びたり変形したりでダメになっている部品はあったのだが、いったん分解してそれらを新しいものに交換したり、ヤスリで磨いたりしたら、問題なく動いてくれるようになった。

 

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真ん中のローラーで生地を帯状にしてから、再度についた裁断用にローラーで麺の形にする。こちらは細麺用。

ローラーを回すのにそこそこ腕力が必要で、前に書いた記事の薪割りと同じように良い筋トレになりそうだ。

 

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そしてこちらが太麺用だ。薄く伸ばした生地をこの太麺用ローラーにかければ、きしめんなんかも作れそうだ。運用次第で用途が広がるのも、原始的な機械の魅力だろう。

 

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初めて作った麺に醤油とごま油をかけて食べた。

小麦粉と塩しか使っていないけれど、ツルツルもちもちとした美味しい食感にできたのでうれしかった。今後の使い方次第で無限に遊べてしまいそうなので、期待である。

 

 

 
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京都大学総合博物館特別展「標本から見る京都大学動物学のはじまり」

閉会した展示会のことを書くのはなんだか申し訳ない気もするけれど、京都大学総合博物館で10月8日までやっていた「標本から見る京都大学動物学のはじまり」という展示を、少し前に観覧してきた。

 

メインの展示会場には、大小様々な動物たちの標本が集められていた。

中には、滅多に目にする機会のない珍獣(カモノハシとか)の全身剥製なども展示されていて、これは、自分としては街中でハリウッドスターを見かけるのと同じくらいうれしいことなので、一人で大興奮を味わった。

「一人で」と言ったが、つまり見学者は自分以外にいなかった。この展示に限らず、館内に人影はまばらで、もったいないなと思う反面、落ち着いて鑑賞や撮影ができることに感謝した。

 

標本たちは、選りすぐった物が展示されているだけあって、どれも素晴らしかった。

今回展示された標本たちは、展示名の通り、この地で動物学が始まった頃に蒐集されたもので、つまり、作られてから何十年とか、ものにとっては100年以上が経過したものもあるわけである。

なのに、ちっとも古ぼけた印象がないのがすごい。それだけ高い技術で丁寧に作られ、きちんと管理されているということなのだろう。骨格標本はともかく、剥製などはそのつやつやとして整った毛並みのせいで、さっきまで生きていたようにピンとしたたたずまいをしていた。

 

亡くなったもののことを忘れないために建てるのが墓標なら、標本は完成度の高い墓標の一種なのかもしれないと思った。

 

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毒キノコから紙を作ろうとした話

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テングタケ(有毒)

 

秋といえばキノコ狩りのシーズンだ。しかし、悲しいかな、「どこそこでキノコ狩りをした人が、誤って毒キノコを食べて病院送りになった」というニュースがインターネットを賑わすのも、だいたいこの季節である。

それもそのはず、人間が問題なく食べられるキノコは、キノコ全体のほんの一握りの種類に過ぎない。さらに言うと、その食べられるキノコを正確に見分けられる人間もほんの一握りなのだ。

そこで思い出したのが、何年も前に読んだ海外のキノコマニアが作った同人誌に掲載されていた、MUSHROOM PAPER(キノコ紙)の作り方である。これなら、誰でも、(手で触っただけで炎症を起こすレベルの悪魔みたいな毒キノコでもない限り)どんなキノコが相手でも遊んでやることができそうだ。

キノコ紙の作り方は、基本的には木から作る普通の紙と同じである。キノコを粉砕して、水で繊維を取り出し、薄く整形して乾燥させるのだ。

折りよく、タマゴタケ狩りをした時に大量の雑キノコたちが手に入ったので、早速試してみた。

 

キノコを潰して水でふやかす

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「我々はキノコである。名はあるはずだが、わからない」

いつもなら図鑑と照合して遊んだりするのだが、鮮度が落ちてもあれなのでまとめてさっさと紙になってもらおう。

 

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これは、テングタケ。こいつをハンマーで潰す。

 

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この永沢くんの頭みたいなやつはエリマキツチグリだろうか。つるつる滑って潰しにくいんだよ!とかいいながら、こいつも潰す。

 

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すべて潰し終えたら、水に漬けて1日くらい放置する。 

 

ミキサーでさらに細かくする

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放置完了。

「ひょっとして新しい世代のキノコが生えてるんでは?いや、それとも虫が湧いているかも...」

期待と不安のメルティングポットと化しつつラップを外してみたけれど、表面にちょっと泡が立っているだけであった。ただ、少し臭った。

 

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余計な水を捨て、ふやかしたキノコをミキサーに入れる。

 

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スイッチを入れる。破片の段階ではほんの少しだけ残っていたキノコたちのアイデンティティが一瞬にして混ざり合う。

 

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できたのがこの茶色いドロドロだ。水が減ってキノコ密度が上がったことで、さっきよりも臭いが強くなったようだ。 

 

木枠に張った布で紙をすく

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木枠に木綿の布を張ったもの。

さっきまでは絵画用キャンバスとよれよれの下着シャツだったものたちだ。

 

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これをキノコ液の中に沈める。

ナムアビダブ ナムアビダブ...。

 

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ドポーン。

 

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木枠を軽くゆすってキノコ液が均一に行き渡ったら、引き上げて水分を落とす。

 

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水滴が落ちなくなったら、木枠から布を取り外す。

 

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表面がふつふつと泡立っている。それになんだかプルプルしているが、大丈夫だろうか。そしてまた臭いが強くなったような...。 

 

平らに伸ばす

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たしか、参考にした本では、布に張り付いたキノコ紙(になる予定のプルプルした物体)を紙の上に伏せ、上から麺棒などで均して平らにせよと言っていた。

一抹の不安がよぎったが、初回なのでとりあえず従うことにした。

 

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木製の麺棒はキノコの汁が染みこみそうで嫌なので、不要なガラス瓶で代用。

コロコロと転がしてやる。

 

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あわわわわわわわ!

 

インターバル

書いていて息が詰まりそうになってきた。きれいな写真を見て少し休憩しよう。

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※以上、すべて北海道で撮影

 

今度はそのまま乾かすことに

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キノコ液を全部流してしまってなかったことにしようかと思ったけれど、せっかくここまでやってきたのだからと自分に言い聞かせて再度やり直した。こういう状態を心理学用語でコンコルド効果と言うそうだ。

ともかく、あふれ出たドロドロを可能な限り回収して、木枠に布を張りなおし、同じように紙すきをして水を切るところまでは同じだ。

今度は、上から均すのはやめて、木枠から外して伏せた状態のまま乾燥させることにした。

 

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2枚作って、海苔みたいにして干す。

 

布と紙を取り除く

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干した。なんとかここまできた。

余談だが、干している途中、臭いにつられたナメクジが寄ってくるなどして、一層げんなりさせられた。

 

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挟んでいる布と紙を取り外す。周辺部は破れやすいけれど、意外にしっかりしている。

 

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完成...?

紙というよりは昆布に近いものが出来上がった。こいつに字や絵を描くには、白いインクが必要だろう。

 

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......。

 

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臭い!

まあ、なんだ、予想通りだね!

 

 

まとめ

キノコ紙を作り始めたときは、最後はできた紙できれいなポストカードなどを作って、それで記事のオチにしようと思っていた。そのような希望は、工程のかなり最初の方で砕かれていたのだが、それでも一キノコ好きとして、キノコからできた紙がどんなものになるのか見届けたかったから、最後まで完成させた。

そして完成したものを前にして思った。

「こんなもの、何に使えばいいんだ!」

こげ茶色でよれよれで、しかも臭い。とても臭い。触った手も臭くなってしまう。ポストカードにすれば、嫌がらせの道具にはなるかもしれない。

少なくともこのやり方には何か致命的な欠陥があるようだ。やり方次第ではもっとよいものになるのかもしれない。でも、もう一度やる元気はないので、誰かに任せたい。

 

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 切れ端を濡らしてみた。水を吸ってボロボロになるかという予想に反して、意外な耐水性を発揮した。しかし、だからといって使い道は思い浮かばなかった。

 

 

 

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真っ赤なタマゴタケを採って食べる

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以前に紹介したベニテングタケは、見た目の素晴らしさとは裏腹に毒があり、しかも毒抜きしてまで食べたいという味ではなかった。天は二物を与えないのだろうか?いや、この世には、「きれい」と「うまい」を兼ね備える素晴らしいキノコもあるんである。その代表が、タマゴタケだ。

 

採集する

タマゴタケの発生時期は6月末から10月の頭頃までなので、本当はもっと早くに探しにくるつもりだったのだが、なんだかんだで滑り込みになってしまった。

やってきたのは、神戸市近郊のとある山中。べにてんぐの会(@benitengunokai)さんが作っておられるタマゴタケ発生地リストによると、この山では2016年10月初頭の時点でタマゴタケが発生していたという情報がある。

タマゴタケは毎年同じ場所に発生することが多いので、去年の情報をもとに、同じ時期に同じ場所を探せば、出会える可能性が高いのである。

 

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途中で見つけたイノシシのぬた場。

山に入って驚いたのが、イノシシの痕跡の多さだ。登山道は獣にとっても歩きやすいため、道の両脇にはまるで重機で荒らしまわったような、イノシシが餌を探して表土を掘り返した跡が続いている。痕跡にとどまらず、一度などは進行方向の10mくらい先をイノシシが斜面を猛スピードで駆け下りて行くのも目撃した。神戸市の住宅街では頻繁にイノシシが出没するらしいが、本当に数が増えているのだろう。

これは、タマゴタケが出てきてもすぐに食べられてしまうんじゃないか...という不安がよぎる。

 

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最初に見つけたのはテングタケだ。ベニテングタケと同じく、イボテン酸をもつ毒キノコだ。

 

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こちらはチシオタケ。

他にもいろいろ生えていてそれなりに盛り上がったのだが、肝心のタマゴタケがなかなか見つからない。

タマゴタケは派手な赤色をしていて、そばを通れば見落とすことはなさそうなので、今年は生えていないのだろうか?

 

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麓の林道を散策して帰るつもりでいたのに、そこそこ高いところまで登ってきてしまった。

 

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「あ!赤いのがある!」と飛びついたら、人工物だった。紛らわしい。

 

その後も、赤い落ち葉だの、登山道をマーキングするための赤いテープが落ちたのだのに反応していちいち飛びついていたが、本物のタマゴタケは見当たらない。

山の中腹まで上って、これは頂上まで登ってしまうことになるなと思っていたときに、視界の端にオレンジ色のものが写った。疲れていたけれど、赤い影に対して条件反射的に振り向いた先にそいつはいた。

 

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あった!こんどこそ本物だ。

 

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少し色が薄くなっているけれど、条線が入った赤い傘に

 

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だんだら模様の軸と、根元の白いツボ。

 

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間違いなくタマゴタケだ!

 

ようやく1本目を見つけたわけだが、このあと立て続けに5本ほどが見つかった。

どうも、この山では中腹から山頂にかけての、広葉樹と針葉樹が混合して生えているエリアに発生が集中しているようだ。群生とまではいかないが、発生時期の終盤としては上出来だろう。

 

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手前はツボから出てきたばかりの子供キノコ、奥はもう少し成長して傘が開いてきたお兄さんキノコ。

 

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卵形の白いツボを突き破って映えてくるから、タマゴタケと呼ばれている。ツボを割って出てくる前の状態のものも探して見たのだが、残念ながら見つからなかった。来年はあと1週間ほど早い時期に来るといいかもしれない。

 

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傘が大きく開く前のものは、本当に真っ赤な色をしている。まるでプラスチックで出来ているような質感だ。

 

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ピエロやトナカイの鼻のような、戯画的な赤さ。

 

生で食べてみる

タマゴタケは数少ない生食することができるキノコだ。

というわけで、土をよく払って採れたてを齧ってみた。

 

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ムシャリ。

ん、これは凄い!

まず、特筆すべきはその無臭だ。生のキノコには独特のかび臭さがあって、顔に近づけたときに押し寄せてくるその匂いのせいで本能的に食べ物として認識されないのだが、タマゴタケにはそういった拒否感をもよおす匂いがまったくない。安心して生のまま口に入れられるのだ。

そして、素晴らしいのがその味だ。程よく歯ごたえのある食感を楽しみながら噛んでいると、ナッツのような香ばしさとコクのある良い味が口いっぱいに広がるのだ。

マッシュルームのようにサラダにして食べたらどんなに素晴らしいだろうと思う。

 

調理して食べる

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持ち帰った1時間ほどキノコは塩水にさらす。

 

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タマゴタケから溶け出した赤い色素で水に色がついている。そして水の底には、タマゴタケから出てきた虫たちが。

タマゴタケは無臭であるためか、普通のキノコのように傘の中に虫が入っていたりはあまりしないようだった。だから生食する気にもなったのだが、やはり土と接する根元の部分にはこうした幼虫たちが入り込んでいたようだ。

 

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断面は白い。

 

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一品目はタマゴタケのオムレツだ。

塩と一かけらのバターで味をつけたタマゴタケを、オムレツの中に巻き込んだ。

 

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シンプルな料理なのに、なんとも豊かな味なので驚いた。タマゴタケの食材としてのアドバンテージがそれだけ凄いということなのだろうが、塩と油が加わったことでナッツ系の味にふくよかさが増したようだ。

生食したときよりも、タマゴタケの各部位の食感の違いが際立つのも楽しい。傘はヌメヌメ、軸はシャキシャキ、根元はザクザクとした歯ざわりがおもしろい。

 

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こちらはバルサミコ酢とオリーブオイルでマリネにしたもの。

 

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液漬けにしたことで、傘のぬめりが一層強調された。酸味が追加されたことで、タマゴタケ本来の味は少しわかりにくくなったかも...。しかしきのこ料理として一級の美味しさをもっていることは間違いない。

 

まとめ

タマゴタケは、キノコ狩りの対象になるために生まれてきたようなキノコだ。

赤くて派手な外見は山の中でとても見つけやすいし、特徴的な外見なので見間違えようがない(一応、外見が似ている種としてタマゴタケモドキというキノコがあるのだが、取り違えるほどにそっくりだとは思われない)。ファンシーでかわいらしい外見は、見つけただけでハッピーな気分になれること間違いなしだ。

臭いがないので虫がつきにくいし、毎年同じ場所に生えるので、一度見つけてしまえば定期的に採集できる。

そしてなにより、これが一番大事なのだが、味がいい。しつこいようだが、味は一級である。毒抜きしたベニテングタケの不毛な旨味とは大違いである。

今年のタマゴタケシーズンはもう終わりだが、来年も採りに行きたい、願わくば次はタマゴ型のツボに収まった状態の幼菌を見つけて食べてやりたいと思う。

 

 

 

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奈良公園で鹿とルリセンチコガネに会ってきた

暑くもなく寒くもない、思わず死ぬまでこんな日が続けばいいのにと思ってしまうような素晴らしい気候だったので、京都から奈良までサイクリングすることにした。ちょうど、猟期が始まる前に目一杯鹿を見ておこうとか、ルリセンチコガネを観察しようとかで、奈良に行きたいと思っていたところだったのである。

気候の快不快に関係なく京都から奈良までの道のりは遠く、道に迷っている時間も含めておおよそ3時間ペダルを漕ぎ続けた脚はパンパンになってしまった。そんなことで初っ端から足取りは重かったけれど、久しぶりに見る奈良の風景は同じ古都でも京都とはぜんぜん違って面白かった。

 

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春日大社の鹿。写真写りを心得てか、段差のところにじっと立って、人々が構えるカメラに順番に目線が合うように首を振っていた。

 

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子連れの鹿。餌をくれそうな人間にペコッと頭を下げているようだった。

 

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地面を掘って土に頭をこすり付ける鹿。

あまりにだらしがないので、尻のあたりをつま先でつついてやると、なんとガバッと起き上がるがはやいが、興奮した様子で頭突きをしかけてきた。頭突きは私の腹のあたりに命中したが、角が切られていたのでどうと言うことはなかった。角切りの大切さを身をもって実感した。

 

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お目当てのルリセンチコガネもちゃんと見つけた。

生き物の糞を食べる糞虫に、オオセンチコガネというやつらがいる。うんこを食べる汚い虫というイメージにそぐわず、その光沢のある体色は色彩変化に富み非常に美しい。

ルリセンチコガネとは、その中でも体色が青色のものを指す俗称である。もともとこの青いオオセンチコガネは奈良県を含む紀伊半島を中心に分布しているのだが、いたるところに鹿の糞が散らばっている奈良公園はその一大産地なんである。

 

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青くて、本当に綺麗。

ところで、海外には糞虫を食べてしまう昆虫食文化をもつ国もあると聞くが、私はまだチャレンジする気にはなれない。いや、素揚げになった状態で出されたら食べるかもだけれど、自分で作る気分にはならない。いつか気が変わるときが来るだろうか。

 

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動物だけでなくて、古くて綺麗な町家も見学した。

帰りは自転車を分解して袋に包み、近鉄電車に乗って帰った。

 

 

 

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