昨夜のことである。自室でネットサーフィンをしていると、なんだか腰のあたりがムズムズと痒い。
服の上から掻いていてもなかなか収まらないので、「暖かくなってきたから虫にでも刺されたのかな」とズボンをめくって肌の様子を確認すると、掻いたところがぼんやりと赤くなって、その中心に黒いものが引っ付いているのを見つけた。
最初は掻き過ぎて血が出たのかと思った。凝視していると徐々にその黒い粒にピントが合ってきた。血やかさぶたの色ではない。それに、なんだか足みたいなものが左右に生えている。
「あ、マダニか」
気づくまでに数秒かかったことがなんだか悔しかったが、そうとわかれば話は早い。手近にあったピンセットで頭をつまんで、ゆっくり慎重に引き抜いてやる。マダニは、足をワタワタと動かして抵抗するが、気にせず一定に力で引っ張る。パツンッという音がして、若干の痛みを伴いながら、体からマダニが外れた。
▲剥がした時点でほとんど血を吸っていなかったので、とても小さい(拡大写真は記事の下のほうに掲載)
マダニに噛まれるのは2度目である
マダニに噛まれるのは、今度が初めてではない。何年も前のことだが、山に行った日の夜に風呂に入っていると、陰部にマダニが吸い付いていたことがある。
浴槽に浸かっていると陰部に違和感があって、手をやってみると何かが引っ付いているのがわかった。ゴミがついているのかなと思って引っ張ってみると、ぷちんと外れたそれはマダニだったのだ。
本当に驚いた。入浴中で眼鏡を外していたので、指でつまんだそれを目の前10センチほどの距離に近づけて、初めてマダニだと気づいたのだ。びっくりしたし、気持ち悪いので反射的に排水溝の方に投げ捨ててしまった。
そのときに比べれば、今回は冷静にピンセットを使って除去した上に、写真を撮って観察までしているわけだから、マダニ経験値は確実に上がっているようだ。
噛まれても無理に取ろうとしてはいけない
自分の体にマダニが吸いついているのを見つけても、パニックになって無理に引き剥がそうとしてはいけない。
マダニの頭部がちぎれて体内に残ってしまったり、ダニの腹から汚染された血や体液が逆流して感染症にかかるリスクが高まるからだ。
自分で除去を試みる場合は、ピンセットでマダニの頭部に近いところを摘み、一定の力でゆっくりと、優しく抜き取るようにしなければならない。アルコールや線香などの火で弱らせてやると外れやすくなるとも言うが、私はやったことがないのでわからない。自力で抜き取るのが難しい場合には、素直に皮膚科の病院などにいくとよいだろう。
どこでマダニをもらってきたのか?
一通り興奮が収まってから気になったのはこれだ。自室にマダニがいるとは考えにくいので、外を歩いているときに体についたと考えねばなるまい。
日中の私の行動を思い返してみる。
- 散歩に出た河原の土手ででスミレの花を摘んだ
- くくり罠の見回りをしに山に入った
- 日没後にウシガエルを探しに池のほとりを散策した
ダメだ。思い当たる節が多すぎる。
マダニは、街中の公園なんかにも普通にいるのである。
ましてや、マダニは野生動物に乗って移動するので、獣道を歩くのはマダニのコロニーに自分から飛び込んでいく行為に近い。暖かくなるにつれてマダニはどんどん活発になってくるはずなので、頻繁に体を洗うなどして注意しようと思う。
不幸中の幸いだが、今度のマダニはせっかちだったようで、脇の下や陰部ではなく腰骨の出っ張っているあたりを刺してくれた。そのおかげで早めに発見することができたのだ。血もほとんど吸っていなかったようだ(潰しても腹から血が出てこなかった)。とはいえ、刺されたところはまだ赤くなっているし、感染症をもらっていやしないかと今後2,3日は気が気ではないわけだが。
▲マダニを上から見たところ
▲マダニを下(腹側)から見たところ